好きな香りと嫌いな香り

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そう…俺は警視庁刑事部に所属している立派な刑事だ……まだ2年目だけど…… すると工藤は、自分のスーツを匂いながらブツブツ文句を言い始めた 「もぉ~っ……ちょっと匂い付いてるじゃないの~っ……タバコの匂いって、しつこいから嫌いなのよねっ!!…………あんたが電話に出ないせいよっ!!……」 ブツブツ文句を言って歩くこの人が俺とコンビを組む工藤 亜豆(くどう・あずき)さん……2つ年上の上司にあたる…… と、同時に…大学時代の先輩でもある…… ……顔は綺麗なんだけどなぁ~…… 「ちょっとっ!!……反省してんの?!!……」 「え?あっ、はいっ……してますしてますっ!!……」 見ての通り…性格が鬼のようにキツイ……というか強いっ……大学時代からもそうだったけど、ほぼ扱いは奴隷みたいな…… 「あ?……なんか言った?……」 「……いっ、いえ………何も……」 …………勘も恐ろしく鋭い…… そんな掛け合いをしながら会議室へと入っていく俺たち 中にはすでに数人の刑事達が輪を作っていた そんな中、会議室に颯爽と入った工藤 すぐに彼女は周囲の視線を一気に集めていた 「来た来た……ツンツン女王……」 「綺麗な顔してんのに……勿体ねぇ……」 「腕が良くても、協調性なきゃダメだろ……」 「あの新人君もいつまで保つか……そろそろだろ?……」 颯爽と歩く工藤は中央の席に座ると手元の資料を読み始める 視線と同時に彼女は小言も集めていた 俺もそんな工藤の隣にひっそりと座る 工藤は署内でもかなりの検挙率を誇る敏腕刑事だ 入社4年目にしてこの数字はかなりのもので、上も高く評価している だが、持ち前の男気溢れる性格が災いしたのか入社時から先輩刑事とモメ、次に着いた新人刑事2人を1年でダメにした そういった功績もあってか、影ではツンツン女王と呼ばれているそう
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