好きな香りと嫌いな香り

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一悶着あったが、会議はスムーズに進行する 「害者は今までで計3人……」 「工務店に勤める向井 広介(むかい・ひろすけ)さん35歳……1月20日の午前6時頃…日課のジョギング中、何者かに腹部を刺され、遺体となって発見……」 「第一発見者である、大路 元春(おおじ・もとはる)さん56歳の証言によると、いつも犬の散歩中、決まった時間に通るはずの向井さんの姿が無く不思議に思っていた所、河川敷で倒れているところを見つけたそうです……」 「次に居酒屋店長の大西 涼(おおにし・りょう)さん35歳……同日午後16時頃…開店準備に店を訪れた所を何者かに襲われ、死亡……こちらも17時に出勤したバイト早瀬 友美(はやせ・ともみ)さん21歳が店内で腹部を刺され、倒れている大西さんの遺体を発見されています……」 「最後はトラック運転手の佐々木 康太(ささき・こうた)さん35歳……同日の午後11時頃、自宅近くの公園で背中にナイフが刺さったまま、血を流して倒れているのを郵便配達員の近藤 篤志(こんどう・あつし)さん42歳が見つけ、病院に搬送……搬送先の病院で死亡が確認されました……」 「……害者の関連は?……」 前に座る上司の言葉に発言する刑事が入れ替わる 「被害者3名には年齢・性別といった部分でしか共通点は無く、それぞれ面識はありません……所持していた財布や携帯は盗まれて居ない事から、強盗の線は薄いと思われます……犯行は全て都内の駅から半径3キロ圏内で行われている事から、その周辺を重点的に調査中です……」 「鑑識からは?……」 「鑑識の見解では3人共急所を一突き……傷口の形状から凶器は同じ物を使用しており、同一犯の可能性が高いと思われます……残されていたナイフの指紋は綺麗に拭き取られていますが、刃の形状から前2件に使われた凶器と同じ物と断定されました……」 「……分かりました……では引き続き害者の共通点を探りつつ、容疑者の特定を急いで下さい……」 会議は終わり指示通りにそれぞれの刑事が動き出した
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