好きな香りと嫌いな香り

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「灰嶋…行くよ……」 「はい……」 会議室を後にし、廊下を歩いていく 俺たちの仕事は駅周辺の聞き込みだ 俺が車を運転して、先輩は隣でまた資料に目を通していた 「………何か、気になるんですか?……」 「………別に?………あんたは運転だけしてりゃいいの……」 「うぅ………」 まぁ、いいか……先輩の方が頭キレるのは確かだし…… だがこの日は何の進展も無く、聞き込みだけで1日が過ぎて行いった 得た情報と言えば 全く目撃者が居ない事と全員独り身だという事だけだ 車を停めたパーキングに足を運ぶ 「進展無しですねぇ~……犯人像すら掴めないなんて……」 「無駄口叩いてる暇あるなら、さっさと車動かして……本庁で調べたい事あるから……」 「調べたいって……何を……」 「行くよっ……」 「教えてくれてもいいじゃないですかぁ~……」 「報告書……頼んだから……」 「えぇっ!!……1人でですか?……」 「なんの為に1人で聞き込みやらせたと思ってんのよ……」 この為かぁ~っ…… 俺たちは再び車を走らせ本庁へと戻っていく 亜豆(あずき)先輩は確かに横暴だ…… そりゃあ、他の先輩刑事とは折り合いがつかないだろう………後輩の俺くらいが丁度いいのかもしれない…… 「なにぃ~っ!!……ちょっ!!車停めてっ!!……」 「え?……」 「良いからさっさと停めろっ!!……」 「あ~っ……はいはい……」 大通りを走る車を脇に停めると、工藤はすぐさま車を降りていった その横顔は満面の笑みだ でも、可愛い所もある……
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