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「あ、そうだ。あさっての映画、私行かないから。というか、もう一緒には行かないから」
長谷部くんはただ同じ映画好きのゼミ仲間と一緒に見に行くだけだと思っているだろうけど、付き合っている彼女さんからしたら嫌だろう。
私だって、一応女だから。
「なんで⁉」
ガシッと両肩を掴まれて、すごい勢いで問いただされた。
「え、だって、なんかやっぱり悪いじゃない。浮気したみたいで」
「浮気⁉ おまえ、多賀と浮気したのか⁉」
「は?」
多賀くんが何? 話が全然見えないんですけど……。
困惑する私を長谷部くんはギュッと抱きしめて、耳元で囁いた。
「絶対許さないからな。おまえは俺のものなのに」
その切ない声に胸がキュンと痛んだ。
「何それ? 長谷部くん、彼女出来たんでしょ?」
パッと離されて、見つめ合う。
「うん、出来た。瀬戸唯香。おまえ」
「え? 私? え? だって、好きだとも付き合ってとも言われてないよ?」
「そんなの言わなくてもわかるだろ?」
「……わかりませんでした」
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