三月の蛍

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 当たり前になりすぎている自分という存在が、哀しい。  そう言えたならよかった。  でも言えない。  それを言うには、私はちゃんと幸せで。  そう思えば思うほど、何も言葉は出てこなくなった。  残りのコーヒーを飲み干した。  今さら、一緒に飲み込むものはなかった。      「先、布団入るわ。」  「あ、俺ももう寝る。」
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