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ベランダに目をやると、小さく赤い光が灯っている。
灯りが纏う細い煙は、冷たい夜風に流され消えていく。
その行方をなんの気なしに目で追うけれども、寒空がどこまでも広がっているだけだった。
(もう、忘れているんだろうな。)
出逢って以来止めてくれていた煙草を再び吸い始めたのは、仕事で自身に非のないトラブルに巻き込まれて以来のこと。
「落ち着くまで、……ごめんな。」
そう言って、すまなそうに煙草を咥える姿に、私が何か言おうなどと思うはずもなく。
支えた。
思い合っていたからこそ。
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