三月の蛍

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 ベランダに目をやると、小さく赤い光が灯っている。  灯りが纏う細い煙は、冷たい夜風に流され消えていく。  その行方をなんの気なしに目で追うけれども、寒空がどこまでも広がっているだけだった。  (もう、忘れているんだろうな。)  出逢って以来止めてくれていた煙草を再び吸い始めたのは、仕事で自身に非のないトラブルに巻き込まれて以来のこと。  「落ち着くまで、……ごめんな。」  そう言って、すまなそうに煙草を咥える姿に、私が何か言おうなどと思うはずもなく。  支えた。  思い合っていたからこそ。
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