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マグカップを手に取ると、その熱に、指先がじんとする。
もう三月だというのに、今日は本当に冷える。
飲み頃になったコーヒーを、味わいもせず、半分まで一気に流し込む。
もともと、味わう気もなかった。
苦味も酸味も、どうでもいい。
そんなもの、もう感じなくていい。
喉を通り、胃が温められる。
内側からじんわりとする感覚に、溜め息が漏れた。
(こんなぬくもりしか。)
舌に残る安っぽい味が、一層そう思わせた。
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