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昔々、ある所に、芳助(ほうすけ)という男が居りました。
芳助は、大変のんきでおおらかな男で、今年で30を過ぎようとしていたのに、働きもせず、笠を編んで生計を立てる母の手伝いもせず、日がな森へ行ったり、街へ行ったり。
そんな時、見知らぬ旅人から、芳助はある噂を耳にしました。
その噂とは、
"村の外れの寺に、それはそれは美しい女がいる"
と言うものでした。
けれども、噂ばかりで実際に見た人は居りません。
最初は笑っていた芳助ですが、ちょうど暇をもて余していた所。
何の気なしに、寺へ向かう事にしました。
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