アルタイル

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空になったワインが入っていた瓶がゴロンと転がった。 僕もカササギも少し酔ってしまったようだ 僕がさっき言ってしまった問いにカササギは困ったような顔をしている。   僕たちはそんなに許されないことをしてしまったのだろうか? わかっている 僕と織姫は確かにいけなかった 僕たちはたくさんの犠牲を出してしまった だけどーー 気が付いてしまったんだ どれだけ時が過ぎようとも僕たちは許されない。 なぜなら年に一度織姫と会えることが僕たちの許しにされてしまったから。 その時から 僕は少しずつ違和感を感じ始めた 一年間罪を償うため、織姫を思い出さないようにするため、昼も夜も牛たちと過ごした もう顔も思い出せない そう思っていたのに 7日の朝目覚めると、奇妙なほど織姫を想う自分が居る なぜだ? 織姫に会える期待感からそうなるのだろうか? 本当にそうなのか? この出会った時のような狂おしい感情が、 雨が降り会えないとわかった時の深い喪失感が、 本物の自分の感情なのか? この苦しい想いを織姫も感じているのだろうか? 僕たちはそんなに許されないことをしてしまったのだろうか? カササギは少し悲しそうに答えた 「ごめん、私にはその答えを出すことはできないよ。 ただ、どれだけ長い時間だろうと私は君と織姫のために時間をさくことを厭わない。」 そうか、カササギ、君にはわかっているんだね。 伝説になってしまった僕らには他の道なんてないことを 雨はさっきより強さを増して降りそそいだ
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