彼女が現れるまで

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男―――新藤 恭一は、歩道橋を足早に下り、近くの喫茶店へと向かった。 そこは、雨の街から隔離されたような、一見、お伽噺に出てくるメルヘンチックな外観の喫茶店であった。 道側に面している窓や扉は、鉢に飾られた草花が中の様子を隠している。 恭一が扉を押し開けると、扉に取り付けられたベルの音が店内に響き渡った。 「いらっしゃいませー」 店内の見えない所から、店員らしき女性の声だけが聞こえた。
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