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静止画を見てるような感覚。
それから徐々に周りの絵が動きだし、音が後からついてきた。
これは、きっと夢だ。
そう思いたい、けど、走り去る人混みに揉まれ、痛みがこれは現実だと告げる。
人の波がおさまり漸く目を開けると、閑散とした十字路に血塗れの腕を持った少年がいた。
逃げなきゃ
だけど、脚が動かない。震えが止まらず、目をそらせない。
見えない恐怖に、身体が縛られている。
「あ……っあ………!」
目があった?
頬に何か触れた。
恐る恐る右を向くと、そこには顔がない人。
「あっ…」
この服、さっきまで隣にいたおじいさん。
おそらく俺と同じように動けず、人混みに飲まれ逃げることができなかったんだ。
そのおじいさんの首から上がなくなっている。
勢いよく首から飛び散る血がかかる。
「はぁー、やっぱり最初は手応えないね。」
ばっと声がする方を向くと、さっきの少年が目の前に来ていた。
「初期武器で一発で殺れちゃうのって、盛り上がりに欠けるなー。簡単に無双出来ちゃうし。……おっ! さいせぇーキター!!」
今度は右から、ぐゅちゅ、ボキッと身体が痛くなる音が聞こえてきた。
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