第二章

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高性能カーナビ ある男性が中古車を買った。 『高年式』、『低走行距離』にも関わらず破格だった。 さらに嬉しい事に高性能カーナビも付いていた。 男性は納車された日の夜、ドライブへ行くことにした。 カーナビを立ち上げてみると、前オーナーが登録したと思われるポイントがひとつだけあった。 そのポイントが家から近かった事と、特にドライブの行き先は決めていなかった事、そして好奇心から彼はそこへ行ってみることにした。 『次の交差点を右折です』 『約50メートル先の信号を左折です』 30分ほど走って、目的地に大分近づいていた。 しかし辺りは何もない山間の峠道。 道幅も狭い。 少し不安だったが、ポイントはすぐそこだったのでそのまま車を走らせた。 『目的地に到着しました』 カーナビの合成音声がそう告げた場所には何もなかった。 車を降りて辺りを見渡すと、道路脇に枯れた菊の華と線香を焚いたような灰の跡があった。 気味が悪くなった男性が車に戻ろうと振り返った瞬間、案内を終えたはずのカーナビが言った… 『こ こ で 私 は 事 故 で 死 に ま し た』
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