第二章

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口裂け女 1970年代の終わり頃。日本全国で、とある妖怪のウワサが広まった。――その名は、口裂け女。 顔の下半分を覆う、大きなマスクをしている女性の妖怪で、学校から帰宅途中の子供などに声をかけてくる。 ……「アタシ、キレイ?」と。 大きなマスクで顔がよく見えず、問われた子供はとまどうだろう。 でも、質問に答えようとする。「……キレイです」 そうお世辞で言ったが最後。その女はおもむろにマスクを引き剥がし……その耳まで裂けた大きな口をあらわにし……そして叫ぶのだ。「これでもキレイかーー!?」と。 ……また、「キレイじゃない」と答えれば、手に持ったカマやナイフで引き裂かれて、殺される。 その口裂け女の問いには、「それなりに」と答えるのが正解らしい。それで女の感情は逆なでされずに、事は無事に済むのだろう。  逃げてもダメ。口裂け女はなんと、100mを3秒で走るという
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