プロローグ

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
3回目だ。 目の前が炎で赤く染まる。わたしは見たことのない、けれどどこか懐かしい「わたし」の家が燃えている夢。周りは見物人と消防隊員で埋もれている。人の波に攫われそうだ。 「~~~……っ、~あっああぁ……」 また、小さい「わたし」が泣いている。誰かの名前を叫びながら、涙で顔をぐしゃぐしゃにして。右目に、今はしていない包帯をつけている。左目は……景色と同じ、赤。今のわたしの目は青い。何故だろう。もしかして……別人?周りの人がわたしの名を呼ぶ気配はないし、このままじゃ本当に誰かわからない。 もやもやしている間に、「わたし」がこちらに振り返った。涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔がわたしの視界に飛び込んだ。「わたし」は、走ってわたしの元へ来た。靴が片方脱げて白い脚に血が滲んでる。不思議と綺麗、だなんて思ってしまった。 「おばあ、ちゃん、おばぁちゃ、があっ……」 「……おばあちゃん?」 聞き間違いだろうか?わたしの祖母はもう他界したはず ……それに、わたしの肉親は両親だけだ。「別人」という二文字が頭を掠めた。 「私が……殺したのぉ……うぁああん」 そこで目覚ましが鳴る。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!