2.2.8 クリスマス

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 両側から食べ始めたケーキもまだ中央部分は残っていた。 「そうだ」  美和さんが何か思い出したようにベッドから出ていった。 「これ、気に入ってもらえるかどうかわからないんだけど」 「俺に? プレゼント? 」 「うん」 「開けていい? 」 「どうぞ」  綺麗なラッピングを開けるとDVDだった。その年のドイツのブンデスリーガで優勝したドルトムントのDVDだった。 「本当は好きなチームとか聞きたかったんだけど、上手に聞き出せなくて。よかったかな?」  ドルトムントは日本代表の選手が移籍したチームだ。どこで買ってくれたんだろう。どこで調べたんだろう。ドルトムントはもちろん好きなチームのひとつだが、それより彼女が慣れないサッカーのDVDを買ってくれたことが何より嬉しかった。 「嬉しいよ。こんな嬉しいプレゼント初めてだよ」 「よかった、好きじゃないチームだったらどうしようかと心配だったの」  そう言って美和さんは胸元を押さえながらふーっと息を吐いた。 「さっきの悪いことしようとしてたのって」 「同じDVD持ってたらどうしようと思って……」  と首をすくめて美和さんが笑う。 「じゃ、俺からも」  机にしまってあるリボンのかかった小さい箱を渡す。 「ありがとう。開けていい? 」  頷きながら、彼女の反応を待つ。ドキドキするものなんだな。 「わ! ネックレス。綺麗! 」  美和さんは箱から取り出して、顔の位置まで持ち上げて照明にかざす。 「つけてあげる」  そう言ってネックレスを受け取り、美和さんにつけてあげた。彼女がネックレスの箱を見ている。 「4℃のなの? 嬉しい。好きだけど、持ってないブランド。どうもありがとう」  その笑顔が見たいんだ。じんわりと体温が上がるような温かい美和さんの笑顔。 「よかった」  俺もホッと一息。 「デザインもとっても好き。選ぶの上手だね?」  それは小さいけれど一応ダイヤモンドのネックレス。予算の都合上小さいものになってしまったけれど。 「店員さんにいろいろ聞かれた。チェロキーを運転したいって言う男前の彼女だって言った」 「オトコマエって……」 「きっと花の形とかじゃないんだろうなって思って。気に入ってもらえた? 」 「もちろん! すでに宝物! 」
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