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昨日の夜に確認した天気予報は、外れることなく、朝から"しとしと"という言葉の表現が、相応しいような雨が降り続いている。
そんな日は決まって、彼女はこだわって選んだ、シンプルなデザインの白い椅子を、窓の前へと持って行き、器用にその上で膝を三角にして座る。
華奢な体を小さく小さく丸めて、雨を眺めるのだ。
一緒に暮らし始めて、いつからか彼女はそうするようになった。
最初は雨の日にそうするものだから、雨が好きなのだろうか……と考えたが、よくよく観察していると、雨が降った時というよりも 、今日のような静かな雨の時だけの、特別な行動なのだと気が付いた。
そんな彼女に、声を掛けることはしない。
いや、声を掛けた事はあるのだが、その時に何も反応が返ってこなかったのだ。
それからは、彼女の気が済むまで、その光景を僕も眺めながら待っている。
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