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出窓になっているそこには、左の端にインテリアとして、観葉植物が置かれている。それも彼女のこだわりで、僕は聞いたはずの名前すら覚えていない。
その横には、彼女が友人の結婚式でもらった、手のひらよりもずっと小さなサボテンの鉢と、披露宴の際に座席を指定するネームプレートを挟んでいたという、クマのマスコットが並んでいる。
きちんと記憶に残っている結婚式の思い出がないらしく、まだ若いこともあって、初めて自分に招待状が届いたことをとても喜んでいたし、本当に感動したと何度も繰り返し話をしてくれた。
今でも愛おしそうに、マスコットに触れている姿をよく見る。
一緒に居ながらも互いに言葉を交わすことはなく、ソファに座り眺める、彼女の選んだ物と思い出の品、そして彼女自身のいるその場所はまさに、彼女の空間だった。
彼女だけの空間なのだ。
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