繋いでいくもの

rain

やがて彼女が、丸めていた身体を少し伸ばし、椅子の上に乗せていた足を下ろす。
その視線はまだ雨を見つめたままだが、それが話し掛けてもいい合図だと、僕は認識している。

「今日もミルクティでいい？その前に着替えなきゃね。」

まだパジャマ姿の彼女に、自身の出来る限りで優しく声を投げ掛けると、彼女は心底驚いたような顔をして、こちらを振り向く。

まるで、僕が初めからここにはおらず、どうしているの？と、言いたげな表情を浮かべる。もちろん朝起きてきて、椅子を移動させる前に、おはようと言葉を交わしているにも関わらずだ。

そんな反応に、彼女だけの空間という表現を、僕はより一層強く確かなものにしている。