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俺は……
サラリーマン!!
始発から終電までずっと働く…………
みんなの見本になる社会適合者だ!!
そう。俺は今、始発の電車にいる!!
始発だと………ゆっくり座れるんだ!!
これから仕事だと思うと、いてもたってもいられなくなる。
あまり乗客が乗ってこないこの駅で、誰かが乗ってきた。珍しいな。
ぱっと見、社会不適合者だな。あいつは仕事ができない。友達と夜遊びして終電を逃したのだろう。
「ねー、タバコある?」
年上にタメ語だと?全く。親がしんぱいだよ。しかも、タバコとかいう不健康なものを吸うのか?当然教育にも悪いし、第一俺は持ってない。しかもここは電車だ。そんなことしたらダメだ。もちろん、ダメと言ったさ。そしたら
「なんて奴だ!!しょうがない。じゃあ俺のを吸おう。」
なんでねだるかな。自分の持ってるので充分だろうに。
しかもここで吸う気満々ですか。
しょうがない。注意しよう。
「ねえ、缶コーヒーある?」
先手を取られた。もちろんそんな物はない。
終電の時なら持ってたと思うけど、今は無い。
適当に断ったら
「なんて奴だ!!しょうがない。じゃあ俺のを飲もう。」
あるなら言うなよ。
あー、イライラする。早く仕事がしたい。
全く、駅はまだか?そして、彼がまた口を開く。まだ何か欲しいのか!
「降りる駅4つ過ぎてますよ」
はっとして窓を見る。
そこには確かに降りるはずの駅から4つズレた駅だった。しかも、扉が閉まってしまった。
呆れ半分で彼の方を向くと、もういない。
逃げたのか。
取りあえず、降りたら社長に報告だ。
さっきの奴は一体誰なんだ?でも目の前にある、スチール缶とタバコの綺麗なオブジェを見る限りは、幻想じゃあないんだろう。
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