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だけど、触れる手は止めてくれないし、ほっぺたには何か触れるしで、状況は全く変わらないみたいだ。
「あっ、やっぱりきた。ヤベッ」
「うっ……むぐっ……んんっ」
「戸波、ちょっと大人しくしててくれ」
焦った声と共に、急に僕は口を塞がれてしまった。
一体、どうなっちゃったのかな?
でも、今だけ全ての動きが止まってる。ちょっとだけ、助かったみたい。
ぼんやり見てると、シーンとしている教室が見えた。
そうだ、僕……まだ教室に居たんだ……なんて思ってたら、カツカツカツと、人の足音が聞えた。
音からすると、女性の履物の音っぽいから……。先生かなぁ?
と、いう事は……誰かがこっちに、向かってきてるって事??
そんな事を思いながらも、今のよく分からない変な状況を見られたら困る気がして、大人しくその音が通り過ぎるのを待った。
耳を澄ましながら、物音一つ立てずに静かにしてると、段々と僕の意識がはっきりとしてきた。
そうだ!
僕……瀬戸君にいきなりキスされて……。
それから……それから……。
「ふぅ……もう大丈夫みたいだ」
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