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それを一部始終見てて、尚且つ甘い雰囲気の二人に挟まれてるオレは、ちょっと場違いな空気をヒシヒシと感じて、何だかムカつく。
「じゃあ、また後で……」
優に告げて、奴が去っていく。
その様子を見ていたら、オレは奴と目があってしまった。
すると奴はオレに向けて、勝ち誇ったように笑いやがったんだ。
ム、ムカつく!!
別に、オレは奴と優の取り合いとかしたつもりなんて更々ないけど、ああやって勝ち誇った顔がムカつく!
まるで、今まで手塩に掛けていた子供を、あっさりと狼に食べられていくのを何も出来ない状態で、見せられてる様な感じだ。
あの野郎……絶対タダじゃおかないからな!
「葎ちゃん? ど、どうしたの?」
奴に対して怒りの炎でメラメラ状態だったオレは、優のその声で我に返る。
「え? 何?」
「あ、あの……葎ちゃん、何か怒ってるみたいだけど……僕の所為?」
何も知らない純粋な優を見て、何故か心が痛む。
瀬戸にムカついてるって言いたいけど……瀬戸の事を好きになりかけてる優に、不安を煽る様にそんな事を言うなんて、オレには無理な話だよ。
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