見守る存在

10/12
前へ
/183ページ
次へ
   「あっ……」 言われて、瀬戸君に手を握られた。 どうしよう……ドキドキしちゃう。 「優……あのさ、俺……あの手紙貰った時、優からのラブレターだと思って、すげー喜んでたんだよ」 「えっ?」 そう、なの……? 「けど、違うって知って……誰からかなんて、どうでもよくなってた」 それを聞いて、瀬戸君がちゃんと読んだのか気になって、聞いてしまった。 「じゃあ、中身……読んだの?」 「……悪い。捨てずに取ってるけど、開けてすらない」 「え?」 どうして? 読んでないのに……どうして、大事に取ってるの? 「あー、あれは……優から貰った時の、イメトレ用に使っててだな……」 「?」 ぶつぶつと瀬戸君が言ってるけど、何を言ってるのかよく聞こえなくて首を傾げる。 「てか、もうイメトレしなくても、やってもらえんじゃん! あのさ、優……」 「へ? な、なに?」 さっきまで、思いつめてた表情を浮かべてた瀬戸君が、いきなり僕の事を呼ぶから、少しビックリしながら返事する。 「なぁ……俺、優からのラブレターが欲しいんだけど?」 「え……? 僕からの?」
/183ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2005人が本棚に入れています
本棚に追加