恋まで……もうちょっと【1】

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   でも、大概は僕が近づいて行くと、女の子の方が逃げてしまう。 それは何故か――その理由も、知ってる。 以前、女の子達の話を偶然耳にしてしまった事があるから……。 『そういえば、うちのクラスの戸波君っているでしょ?』 『うんうん、居る居る!』 『あの子さ、すっごい暗そう……じゃない?』 『いくら副委員長やってたって、用事以外では喋りたくないよね~』 『確かにそうだねー』 あれを聞いたのは、いつだったんだろう……? ただ、聞いたのは本当に偶然だった。 あの時僕は、自分の机にノートを置き忘れてた事に気付いて、取りに戻ろうとしてた。 だけど、教室のドアを開けようとした時に、クラスの女の子の笑い声が聞えて……何となく、教室に入り辛かったんだ。 だから、そのまま廊下でボーっと暫く、突っ立ってる状態だった。 そんな時に、偶然聞いてしまって……分かってはいたけど、実際聞くと、やっぱりショックで……。 あの日は確か、ノートを放置したまま、帰ってしまった気がする。
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