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黒板の前でひとつ、深呼吸をした。
心を落ち着かせて、笑顔をつくる。
皆の視線を集めて、息を吸い込んだ。
「みんなっ、卒業しても忘れないよっ!」
笑顔でって決めていたのに、やっぱり涙は溢れてくる。
私を見ているみんなも同じく、泣き笑いの変な顔だ。
「私、このクラス、大好きだよっ!」
賑やかな黒板。
このクラスはこの黒板のように存在感の強いクラスだった。バラバラに見えるみんなの個性が、何かを達成しようと同じ方向を向いた時、特別な力を発するような。素晴らしいクラスだった。
「ぜったい、また会おうねっ!」
私の締めくくりの言葉に、クラスのみんなが拍手をくれる。
それに答えて手を振りながら黒板の前から離れようとした時。
「いや、あんた3組だろ」
「大丈夫、これから2組と3組に行くから!」
さぁ、お別れをしよう。何度でも!
悲しいばかりじゃないんだって、証明しよう!
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