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…ばいばい,燈…
…待ってよ,行かないで,夏樹…
夏樹は…消えた。
そう,突然。
…ジリリリリ…ザッ…ジリリリリ…ザザッ…
雑音混じりのアラームで,私は目覚めた。
「…夏樹」
さっきまで見ていた夢の画像が鮮明に思い出される。
「帰ってきて…」
私は,枕元の写真に語りかける。
そこには私と,もう傍にいない彼が仲良く並んで笑っていた…。
…ばいばい,燈…
あの時の夏樹,どんな顔してたっけ…?きっと,悲しそうな顔してたんだろうな…私ったら馬鹿だな…なんで気づかなかったんだろうね…
…久しぶりだ,夏樹の夢を見るのは…
私は目元に溜まった熱い液体をそっと拭い,ひとつくしゃみをして,
「会いたい」
誰にともなく,独り呟いた。
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