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「え,朔くんってサッカー部なの?」
「うん。この前試合見に行ったんだー」
「強いの?朔くん」
「んー,まあまあかな」
私たちは今,東高に向かっている。
私の前を歩く二人の会話から,その「朔くん」がどんな人なのか想像する。
…サッカー部ねえ…
…夏樹もサッカー上手かったな…でもバスケの方が得意だったな…
って,なんで夏樹のこと考えてるんだろ,私。
「…で,どう?」
ハッと我に返ると,麻衣と沙織が私を見つめていた。
「あ,ごめん!ボーッとしてて聞いてなかった!何?」
クスクスと笑う麻衣と沙織。
「また夏樹くんのこと考えてたの?」
「…まあね」
この二人だけは私の過去や夏樹の存在を知っている。
一応,親友だからね。
「ふーん,まあそろそろ燈も現実を見た方がいいと思うけどなあ」
そういって顔をしかめる沙織。
「沙織は朔くんがいるからいいけどさあ,麻衣も燈も彼氏いないし,そんなこと言ったってね…」
麻衣は大げさに肩をすくめる。
「「はあ…」」
私と麻衣は同時に大きなため息をついた。
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