第1章

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学校の喫煙所。外に灰皿がおいてあるだけの場所。 タバコを吸うわけじゃないのにそこへ向かう。 友達を探すふりして。 「いないよ。」 あたしが探しているフリをしている人物を知っている。 「そっか。」 「ゆみ。何飲む?」 時々、喫煙所にある自販機で買ってくれる。他の子には内緒で。 ミルクティーを選ぶ。 「これ!」 「そんな甘いのよく飲めるな。」 彼の右手にタバコ、左手には缶コーヒー。ブラックの。 「そんな苦いの良く飲めるね。」 「お子様には分かんないだろうけど…なっ!」 くわえタバコをした彼の指があたしのおでこを突いた。 「もー!何するん!」 前髪のあるおでこを撫でようとすると前髪に何か貼り付いていた。 あたしの手に貼り付いたのは、コーヒーについていた応募券のシールだった。 「あー!もう!先生のバカ!」 財布の奥にしばらく使ってなかったポイントカードの裏に貼ってあったシールを見て先生の笑顔を思い出す。 先生、元気ですか?
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