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待つ人と人間
冬の昼下がり。
薄い雲が空を覆い隠し、ただでさえ弱い陽の光さえもさらに弱めてしまっている。
風も強く、身を縮めて歩く人が多く目に入る。
その寒空の下、交差点の一角で二十歳前後の黒髪で長身な青年が1人立っていた。
黒いロングコートと紺色の長ズボン。
コートのポケットに手を入れ、口元をコートに埋めながら信号機横のガードレールに寄りかかっている。
流れる人に時々目を走らせながら、じっと佇んでいる。
少しばかり、彼の話をしようか…
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