1話

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そんな私の心を見透かしてるんじゃないの、と思うように上念さんは鋭い言葉を放ってきた。 「チャンスだぜ、だれでも自由参加できるコンペなんだから。」 「でも、どうせ、私の考えたのなんて通りませんよ。」 「やってみなきゃ、わかんないじゃん。」 私の弱気を一蹴する上念さんはなぜか、強気。あれ、こんなおせっかいっぽい人だったんだ、とちょっと意外なくらいに。 そして、なんとなくこんな風にずばずばと、意見してこられることが嫌じゃなかったのも不思議だった。いつもの私なら、そういうのは苦手なはずなのに。 「オレさあ、時々花村の書いたコラム読むんだよね。なんか、目の付けどころが他の人とちょっと変わってて、面白いから。花村って、仕事頼まれたら全部引き受けるし、NOって言ってるとこ見たことないからやる気あるんだな、って思ってたんだけど。」 そうなんだ、とちょっと嬉しかった。私のコラムなんて、ほとんどだれも読んでないかと思った。ちっちゃいスぺースに、編集部で毎月順番に書いているコラムで。読まれてないだろうなと思うからこそ、私はコラムを自由いっぱいに書いていたのだ。 だけど上念さんはふうーっとため息に近い吐息を吐いた。 「オレの見込み違いかな、花村って、意外とやる気なかったんだ。企画とかどーでもいいと思ってるわけ?」 「違いますよ!」 「そうかな、花村って、普段から大人しくそつなく立ち回ってるけど、何となく上辺だけの顔に見えるんだよね。なんでも周りに合わせてしまう勇気のない優等生って感じかな。もっと、本音をさらけ出したりしないわけ?本音で生きた方が絶対楽しいぜ?」
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