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「ああ、俺ってなんでこう運がわるいんだ」と呟き、肩を落としながら歩いていく男が一人いた。
サラリーマン風のその男は、小田桐翔馬28歳。普通の顔に、身長は160㎝と決して大柄ではない。
身体を丸めて下を向いて歩いていると、ふと怪しげな看板が目に入った。
その看板には、くもの喫茶店と書かれてあった。
それを見た小田桐は、「なんだ、くもの喫茶店ってどう言うネーミングセンスを持っているんだ。くもなんて書いてあったら誰も気持ち悪くて近寄れないだろうに」そして看板の下に小さく書かれてある文字に釘付けになっていた。
あなたの不運を蜘蛛の糸で絡めとります。
「へ、どうやって人の不運を絡めとる事が出来るんだ。神様でもないのに」小田桐にとって、今自分が置かれている状態は不運の服を着て歩いている状態だった。
会社では取引先と問題が持ち上がってしまい、せっかくの高額の取引をおじゃんにしてしまったし。
それは小田桐のせいではないのだ。
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