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小田桐は、そのランプの火を見つめていると、心の中にあるもやもやが、抜けていくような感覚に陥っていた。
そして、静かに店員がコーヒーを入れる所を見ていた。
小田桐の中で今までの不運な出来事が走馬灯のように頭の中に思い出されては消えていった。
コーヒーの粉にお湯が注がれると、店内にコーヒーのとても良い香りが広がり始める。
コーヒーの香ばしい良い香りに小田桐は包まれると、心安らぐのを感じていた。
店員が
「はいどうぞ、これが特製のくものコーヒーです。ゆっくりと味わいながら、お飲みください」と言うと小田桐の目の前にコーヒーカップを置いた。
小田桐は
「ありがとう」と静かに言うと、コーヒーカップを右手に持ち、ゆっくりと味わいながら飲んでいく。
小田桐の喉元をコーヒーの良い香りと味が通り抜けていく。
胃に入ってコーヒーは吸収されて血液に入り、身体中を駆け巡る様に広がっていく。
その広がり方はまるで小さなくもが巣を作る様に細かく編み込まれていくようだった。
そして、小田桐の気持ちに変化があらわれる。
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