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完全にこの部屋の置物となってしまった僕に、彼女を追いかける術などある筈もなく。
彼女を感じられる術があるのならば――いっそのこと、この女性が僕を路地裏の屑籠にでも捨ててはくれないだろうかと、そう心から願った。
あの夜感じた違和感に真剣に向き合っていれば、彼女を失うことはなかったのだろうか。
そんなことはない。珈琲の香りすら出せなくなった僕は既に用済みだったのだから。
徐々に薄れゆく感覚がやるせなさを増幅させてゆく。
――Kotorowitchiが愛したMINEの香り――
僕は今日も、彼女の香りを追い求めている。
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