第一章

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 学校というところは、壁に囲まれたアナーキーな空間ではないかと思うときがある。教師がいるから助かるなんぞ、そんなこと思う奴は学校の中でもほとんどいない。自分のことは自分で守らなければやっていけない。 そんな異様な空間が学校というところだと思った。  社会よりも格段にレベルが低い、ウブな小国家は、時にはどう猛に、時には人なつっこく、無邪気な天使のようにすがり、そして、小悪魔の牙を剥く。 そんな小国家を大国家は手を焼いているように思っていた。 そんな中でも、大国家と小国家の狭間に立たされている教師というのは、まっとうな感覚を保てるほうが奇跡だと思っている。 だが、それが今の世の中の「常識」となっているのがまったくもって理解しがたいが、それが「常識」となっている以上、俺の考えは「非常識」となっている。
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