1人が本棚に入れています
本棚に追加
私は、祈り続ける。
この血を終わらせるために。
私の夫が、殺された。
誰にかと聞かれても、私にはわからない。
彼のことは誰よりも知っていると思っていたけど、それでもわからない。
ただ、彼が殺された日、一人の女の姿が目撃されたらしい。
その女は、綺麗な紫色の髪の毛をしていて、カールがかかっていたとか。
かくいう私自身も紫の髪の毛であるが、ストレートで瞳は赤い。
女の瞳は茶色で、真っ赤な口紅をしていたようだが、未だに誰かは判明していない。
夫の名はトマという。
彼は輝くような金色の髪の毛をもち、吸い込まれそうな茶色の瞳をしていた。
身長は一八〇ほどあっただろうか。
私とは三〇センチ弱の差があった。
私は小さい頃から親に愛されておらず、よく一人で遊んでいた。
父親も母親も互いに恋人をつくり、相手のことなど気にしていなかった。
それでも、私は二人がいるなら良いと思っていた。
だがある日、私は突如、身売りするよう言われた。
それは私の身体が、子供から大人へと変わりだした頃。
顔立ちも女性らしくなり、指もほっそりと長くなり、足だってスッとしている。
一番自分で変わったと思ったのは、胸だ。
ぺったんこで、何もなかったそこには、徐々に膨らみが出始めた。
私は最初、嫌で嫌で泣いて懇願した。
こんなことはしたくない、と。
すると、母親は冷淡な目を私に向け、こう言ったのだ。
「身売りのひとつも出来ないで、ずっとこの家にいるつもりかい?」
絶望を突きつけられただけだった。
肩や足が出る服を着せられ、私はその身ひとつで出かける日々が続いた。
「私を、買いませんか?」
笑顔で男に媚びを売っている、そんな自分が嫌いだった。
男は私の身体を舐めるように下から見て行くと、喉を鳴らして私に触れる。
「君、名前は?幾ら?」
「パールといいます。沢山頂けるのなら、サービスします」
お腹の出た男も、不細工な男も、乱暴な男も、我慢した。
最初のコメントを投稿しよう!