第一性【パール】

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 「ねえトマー。今度はいつ会えるのー?」  「モナファ、しばらくは無理だって言ってるだろ」  「なんでー?赤ちゃん出来ちゃったからー?トマがちゃんと避妊しないからじゃない」  「うるせぇな」  「それに、身体売ってる女助けるなんて、馬鹿じゃない?女だってそれなりに楽しんでんのよ、それ。放っておけば良かったのに」  「黙ってろよ」  トマが、モナファに覆いかぶさり、口を塞ぐ。  時折、モナファの艶やかな声色が耳に響く。  モナファは長いカールのかかった紫の髪をベッドにちらつかせながら、真っ赤な口紅でトマを誘う。  ベッドは二人の重みで軋み、沈んで行く。  「ん、あら?帰るんじゃなかったの?」  「ああ?誘っておいてそれか?」  「ふふっ。自分の子供が危ないってときに、よくこんなこと出来るわね」  「それを知っていて、よく俺を誘えるな」  「あら、じゃあお互い様ね」  絡み合う吐息は、やがてひとつになる。  時間だけが過ぎ、ようやくその熱も収まったとき、トマはやっと身体を起こす。  脱ぎ捨てた服を手に取ろうとすると、背中からお腹に向かって回された腕によって、阻まれる。  「モナファ、いい加減にしろ。終わりだ」  「私と同じ髪の女のとこに行くの?罪悪感とか感じないのね?」  「余計なお世話だ」  腕を外すと、モナファはシャワーを浴びにシャワールームへ向かった。  トマは乱れた髪や服を整え、鏡でチェックする。  すると、シャワールームから声がする。  「奥さんにバレてないのー?」  「さあな」  「あら、そう」  この時、モナファはトマとパールが別れることを望んでいた。  だからこそ、わざと匂いはつくように、香水をつけていたのだから。  「(バレてないわけないと思うけど)」  心の中では思っていても、言わない。  シャワールームから出れば、すでにトマはいなかった。  部屋代を置いて、書き置きもなく。  濡れた髪の上にタオルを被せたまま、モナファは薄く笑うのだった。
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