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それから1ヶ月が過ぎ…
まんまる姫は、とうとう地上まで後少しの所まできました。
あとほんの10メートルほどで、地上に出る事が出来ると思うと、まんまる姫の目から涙が溢れます。
何度も何度も挫けそうになり、その度に白いモグラに怒られ、叩かれ、引き留められて、ようやくここまで来たのです。
白いモグラは、穴を先に出て、城から遠く離れていないか確かめに行きました。
(あともう少し…あともうほんのちょっと…)
まんまる姫が正に地上へ出ようとした時、不意に後ろから声がしました。
「そのまま出ていって、良いんですか?」
振り返ると、そこにはあの黒いモグラが居ました。
黒いモグラはニヤニヤと笑いながら、何かの袋と、小さな樽を投げつけます。
袋を覗くと…その中には、あのケーキが入っていました。
「地上に出ると、それらをもう二度と食べれません。地上には無い物ですから。必要なら、もっとお持ちしましょう。」
まんまる姫の喉がゴクリと音を立てます。
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