【まんまる姫と不思議穴】

10/14
前へ
/17ページ
次へ
それから1ヶ月が過ぎ… まんまる姫は、とうとう地上まで後少しの所まできました。 あとほんの10メートルほどで、地上に出る事が出来ると思うと、まんまる姫の目から涙が溢れます。 何度も何度も挫けそうになり、その度に白いモグラに怒られ、叩かれ、引き留められて、ようやくここまで来たのです。 白いモグラは、穴を先に出て、城から遠く離れていないか確かめに行きました。 (あともう少し…あともうほんのちょっと…) まんまる姫が正に地上へ出ようとした時、不意に後ろから声がしました。 「そのまま出ていって、良いんですか?」 振り返ると、そこにはあの黒いモグラが居ました。 黒いモグラはニヤニヤと笑いながら、何かの袋と、小さな樽を投げつけます。 袋を覗くと…その中には、あのケーキが入っていました。 「地上に出ると、それらをもう二度と食べれません。地上には無い物ですから。必要なら、もっとお持ちしましょう。」 まんまる姫の喉がゴクリと音を立てます。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加