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続けて黒いモグラが問いかけます。
「そこまで頑張った後にこんなこと言うのは申し訳ないが…地上に帰って、何があります?食べ過ぎたら怒られ、転がっては怒られ、女の子らしく、人間らしくと…色んな物に縛られた、窮屈な暮らしが待ってるだけじゃないですか?」
そこで言葉を切り、大袈裟に手を振りながら、黒いモグラが続けます。
「それならいっそ!…甘いジュースとケーキを食べて、気楽に下で、モグラとして過ごす方が、楽だと思いませんか!?」
そう言って、樽を拾い、まんまる姫に近付けます。
まんまる姫の頭に、あの甘くて美味しいジュースの味が一気に甦ります。
1ヶ月も口にしていないのに、ダメな物と解っているのに、身体がいう事を聞きません。
樽に向けて近付きます。
黒いモグラがニヤリと笑い、再び口を開きます。
「堕ちるのは…簡単です。ジュースを一口飲んで、後ろに向かって、いつもの様に転がれば良い。努力もいらない。ほんの少し、求めれば、いつでも誰でも堕ちれますから…。」
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