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次の日は、とても暖かい、いいお天気でした。
夢子さんが毛布の中をのぞくと、小さな黒い毛玉がゆっくりと上下しているのが見えました。
その姿に安心して、朝ご飯を作り始めました。
トーストがチン! という音を立てて焼きあがりました。
その香ばしい臭いに鼻をひくつかせ、仔犬がもぞもぞと起きだしてきました。
「おはよう」
夢子さんが仔犬にあいさつしました。
「おはよう?」
仔犬は首をかしげました。
夢子さんは仔犬をひざの上に乗せて言いました。
「朝、目がさめたら言う言葉よ。
この言葉を言うとね、これから楽しい時間が始まるの」
仔犬は、よくわからない・・という顔をしました。
「まだ、わからなくてもいいよ。 こんど目がさめたら”おはよう”と言ってごらん、なんだかわくわくするわよ」
そう言って、仔犬の体をやさしく撫でました。
仔犬は気持ちよさそうに、目をつむりながら言いました。
「うん。わかった。
こんど目がさめたら言うよ。”おはよう”って言うよ」
そうして、またうとうと、と夢の中に入ってしまいました。
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