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ねえ、綺良──
私たちに恋人期間というものは殆どなかったよね。焦るように恋に落ちて、心が追い付かなくなるほどのスピードで愛に堕ちたんだね。
あなたに全てを奪われるまで、あっという間だった。
綺良と私のことだから、お互いこれからも「自分を犠牲にするな」と言い合うんだろうけど、私たちが恐れるものはもう一つたりともない。
だって幾つもの奇跡をこの手にしたのだから。
そうだなーうん。
幾度枯れようとも何度でも蕾を咲かせる花のような、そんな夫婦でありたいと私は思う。
「……ああやばいな、今の効いた」
「うん?」
あなたに寵愛されていること、それが私の全てです。だからどうか私を一生あなたのお側に──なんてガラじゃなかった私。
「勃った」
「はっなに当たり前のようにえろってんの?ばかなに発情してんのっ」
「してないから抱かせろ」
「はっ何でこうなんのどスケベ!」
「一発ヌかせろと言っている」
「……サイテえ……て、ちょ、車内はむーーりーー!」
「っ──おい澪、ピンヒールで蹴るな萎むだろうが!」
「萎んでけっこう!!」
とかなんとか愛しの旦那サマをボコボコにしているわけですが、冴島 澪、二十八歳──詰まる所すっごく幸せです。
この度、若サマのご寵愛をうけまして。
『この度、若サマのご寵愛をうけまして。』
Season1~特別話~【END】
※ 次ページはおまけのあとがきです!
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