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「どうした小娘、その程度ではこやつは取り戻せぬぞ!」
段々ルシファーが押していき今では杏は防御に徹することしかできない状態までなっている、その時ルシファーが杏の剣をはじき飛ばす。
「終わりだ小娘。」
ルシファーは剣を横に振りかぶり首を跳ねようとした瞬間。
「どうして今キサマが出てこれる、出てこれぬようにしといたはずだ!」
首元で止まった刃はルシファーの中にいる綜馬が止めたものだった。
『杏ちゃんは人間だ!オレが命じたのは吸血鬼の殲滅だけだ!命令に反するときはオレが中から止められるのは今知ったぁ!』
「言っておくがこの小娘はもう人間に戻れず吸血鬼でもない世界の忌むべき存在なのだぞ!」
ルシファーは手合わせしている最中に杏の因子に気づいたのだ、そしてそれはまだ確信とは言えないものだったため今まで黙っていたのだ。
『それでも杏ちゃんを殺すな!何かに利用されてるってんならオレがソイツらをぶっ殺してやる!』
「吸血鬼ども!」
その瞬間に聞こえたのは一人の男が砦の上から放った一言だった、その男の後ろには大隊ほどの人数が待機している。
「やーっと来やがったか、遅いっての」
師龍は安心感からかその場で気を失い倒れる所をサラに受け止められる。
「師龍、貴様のお陰でまたほしい物が増えた。あの女の正体が。総員白装束の女以外を皆殺しにしろ!」
その声を聞いて吸血鬼の一人が撤退と叫びその身体能力を用いて退却していく、しかし杏は動かずにいた。
「必ず綜ちゃんを助けに来る。その時は悪魔、お前を必ず殺して綜ちゃんを開放させる!」
ルシファーにその言葉を吐き捨てた後に吸血鬼の後を追いかけ退却していく。
「これで今回の命令は終わりだ、まぁこんなことしたら何日気を失うかわからないがな」
ルシファーはそう言うと鎧の中から魔力が出ていき綜馬本人が地に伏した状態で確保される。
この戦いで吸血鬼との戦闘に勝利する、それも援軍に来た軍大将の一条 王騎のお陰でもある。
そして綜馬が目を覚ましたのは一週間後の話だった。
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