課長と煙草と私

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荒い息で課長を見上げる。 課長の支えでかろうじて立っている状態。 ……わかっただろって、なにが? 考えようにも思考は空回りするばかり。 課長の片腕がそっと私の身体を滑り降り、膝の裏に添えられた。 気が付いたときには抱きかかえられ、ベッドに沈められてた。 「まだわからないか?」 上からじっと見つめる、課長の瞳。 そっと眼鏡を外してみたら、熱く潤んでた。 再び重なった唇に思考は飛んでいく。 昨晩あんなに泣かされたのに、またまだ日も高いというのに散々泣かされた。 何度も切なげに「緋羽」と呼ばれ、口から出そうになった言葉を必死で飲み込む。 云わないから泣かされるんだとわかっていながら、口にできない。 ……たぶん、意地、みたいなもの。 最初から課長に、いいように弄ばれてるのが気に入らない。 いつも余裕で、そういうのがむかつく。 だから、これだけは、課長の口から云わせたい。
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