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「第一、誰が君のことだと云った?」
「え?」
「どうせそれは課内の女性一同から、だろ?
そんなものをもらったって、君たちに対する態度を変える気などない」
「……私個人、からなんですが」
立ち去ろうとしていた課長は足を止めると、勢いよく私の方を振り返った。
「……君から僕に?」
「はい」
「……まあ。
ものによっては受け取ってやってもいい」
用意していた袋からチョコの包みを課長に差し出す。
課長は受け取ると、にやりと笑った。
「綱場町の、専門店の奴か。
これなら受け取ってやる」
「ありがとうございます。
……ところでこれは、一体どういうことなんでしょうか?」
いつの間にかふたりきりになっていた課内。
私の背中には壁。
そして壁ドン姿勢の課長。
「君はチョコを渡すだけで満足か?」
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