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課長は無言で置いてあったチョコのパッケージをとると乱雑に包みを開け、中に入っていたチョコを私の口へと押し込んだ。
「……!」
再び押しつけられた課長の唇。
強引に唇をこじ開けられ、深くなっていく。
思わず目を閉じると、ぎゅっと強く抱きしめられた。
口の中のチョコがなくなると、唇が離れる。
文字通り、甘い吐息が私の口からも課長の口からも落ちた。
「こんな……」
上がった体温のせいか、課長の眼鏡が僅かに曇った。
そのせいで、どんな顔して私を見下ろしてるのかわからない。
早い鼓動、熱い身体。
掴んでいる、課長のスーツの襟を手放せばきっと、私の身体は崩れ落ちる。
「残りも君が、食べさせてくれるんだろう?」
僅かに持ち上がる、課長の口角。
私を見下ろす、冷たいシルバーフレームの、眼鏡の奥の冷たい瞳。
なのに私は……。
「なんで……課長……」
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