課長と煙草と私

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「ならいいけどな。 このあいだ、会議の資料間違ってうちの課の女の子、泣かされてたし」 「あー、うん。 そういうのは大丈夫」 ……免疫ない人には、課長の物言いはきついもんなー。 慣れてきたとはいえ、私でもたまに、泣きたくなるもん。 「まあいいけど。 ……そうだ。 今晩、飲みに行かねー? 憂さ晴らしっていうかさ」 「……悪いが。 氷川には今晩、予定があるんだ。 なあ、氷川?」 カタンとトレイを置く音がして、おそるおそるそちらを向くと、にこやかな顔の課長が座るところだった。 「なあ、氷川。 今晩は予定があるよな?」 「……ハイ。 予定ガアリマス」 ……ううっ。 怖い。 笑顔なのがとくに。 「ほんとか、緋羽?」
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