302人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらく私の瞳を見つめていた課長だけど、一瞬、泣き出しそうにレンズの奥の瞳を歪ませたと思ったら、私から身体を離した。
「男女の間に友情など存在しない」
カチッ、ふーっ。
煙とともに吐き出される、ため息ともつかない息。
……滅多に吸わないと聞いていた課長の煙草。
でも、ここに連れ込まれるようになってから、しょっちゅう吸っているところを見かける。
灰皿だって、適当なお皿からいつの間にかちゃんとしたものに代わってた。
「第一、完全に宮部は君を狙ってる。
……気付いて、ないのか?」
「そんなことは……」
……ない、そう云いきれなかった。
いつも私に優しい宮部くん。
私はずっと、その気持ちに気付いてなかっただけじゃ?
だって、今日のあれ、は。
「緋羽はいろいろ鈍すぎる。
……お仕置き、だな」
「え……?」
最初のコメントを投稿しよう!