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最初は、課長から弄ばれてるのが嫌で、意地になって云わないだけだった。
でも、日がたつにつれて徐々に自信はなくなっていく。
……もし、身体だけの関係を求められてるんだとしたら?
そんな莫迦な考えすらあたまを掠める。
云わなかった言葉は云えない言葉になり、しこりになって私の喉を締め付ける。
「どうした?なぜ泣いてる?」
目を覚ました課長が心配そうに私の顔を覗き込む。
……わざわざ、眼鏡をかかて。
「なんでも、ない、です」
「男女間で友情が存在しないことが、そんなにショックだったのか?」
皮肉を含んだ笑顔に余計に涙が溢れ出る。
「違い、ます」
あたまを振るとそっと目尻に口づけされた。
流れる涙を舌で拭うと、ぺろりと唇を舐めた。
「……苦いな」
云われた意味がわからずに課長の顔を見上げると、にやりと笑われた。
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