課長と煙草と私

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「泣き止んだな」 そっと課長の胸にあたまを抱きかかえられた。 ゆっくりと髪を撫でる手に安心していく。 「……もう少しだけ、待て」 ……どういう、ことですか? 問おうとしても私の意識には幕がかかり、そのまま眠りに落ちていった――。 翌日。 課長は普段通りだった。 その翌日もまた翌日も。 あれは一体、どういうことだったのかは気になるけれど、妙に優しい声だっただけに、私の気のせいだったんじゃないかな、とかも思う。 そんなこんなで三月十四日、ホワイトデー。 「緋羽、今日は外食」 「……はい」 課長宅に度々お持ち帰りされるようになって。 食事は大体、課長が作ってくれてた。
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