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「事実だろ?くだらない、男の話ばかり花を咲かせて」
「……そう、ですね」
冷たい課長の物言いはいつものことだ。
だから、見た目はいいのに女性から倦厭されている。
泣く時間がもったいないので、涙を拭ってパソコンに向き直る。
……朝までには終わらせなきゃ。
黙ってキーを打ち始めた私に、課長は手近にあったファイルを手にとってぱらぱらめくってる。
「……これは君の仕事ではないだろう?」
「そうですね」
「なぜこんなに引き受けた?君はドMなのか?」
「そんなことはありません」
「『そうですね』ではないんだ」
おかしそうな声に顔を上げると、なぜか課長は笑っていた。
笑われる理由がわからないし、時間がもったいないので無視することにする。
「どうせあいつら、自分たちが男漁りする時間が欲しくて、君に仕事を押しつけたんだろ。
そんなことをするから、男に相手にされないんだということも気付もせずに」
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