課長と煙草と私

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「……」 半分はあってる気がするので、なにも云い返さないでおいた。 口の悪い課長だけど、評価は的確だと思う。 「半分、よこせ。 君ひとりでは終わらないだろ?」 「でも……」 「誤解するな。 新人をひとり、徹夜で仕事させたなど僕の沽券に関わるし、なにより明日の資料が間に合わないのは困るからな」 そう云うと課長は積んであったファイルを半分……どころか三分の二以上持って行ってしまった。 「あの……」 「ん?君の作業効率と僕の作業効率からいって、これくらいが妥当だと思われるが?」 「……はい」 さりげなく、私は使い物にならないと云われた気がしないでもないがスルーしておこう。 その後、ひたすら黙って作業していた。 詰まっているとさりげなく課長がそばに来て教えてくれる。 課長の処理速度は恐ろしく速く、あっというまにあれだけのファイルを片付けてしまうと、さらに私の元からファイルを持って行って作業していた。
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