課長と煙草と私

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「なに?見とれてるのか?」 再び煙を吐き出した課長の口端が僅かに持ち上がり、かっと顔が熱くなった。 「ち、違います!課長が煙草吸うなんて、なんか意外だったな、って」 「……ああ。 滅多に吸わないけどな。 疲れてるときやリラックスしたいときに欲しくなる」 「あ……。 すみません」 「なぜ君があやまる?」 課長が少しだけ、顔をしかめた。 ……不快に、させたんだと思う。 でも、なんで? 「だって、仕事……」 「だから。 何度も云っているが、君のためではないから」 「……はい」 「……さっさと帰ってその酷い顔をどうにかしてこい。 そんな顔で社内をうろうろされたら迷惑だ」
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